DrBulucaniloの日記

独身女臨床獣医の読書感想文

『人間の土地』 人生に意味があるのではなく、我々が人生に意味を与える

 

人間の土地 (新潮文庫)

人間の土地 (新潮文庫)

 

 

こんばんは。生後1週間くらいの子猫たちの授乳を2時間半おきにしています。明日も仕事だっ!
生きもの相手の仕事って、こちらの都合はまってくれないもんですね。一生懸命動物が頑張っても、我々が頑張っても、死ぬときは死ぬし。どんなにやっても私たちのやっていることは不確実性を伴う。きっとこーゆー「報われなさ」があるから臨床離れる人が多いんでしょう。

星の王子さまで有名な飛行士・小説家であるサン=テグジュペリの『人間の土地』は、大変な思いをして日々生き続けている全ての人への「ではなぜ続けるの?」という問いに対する解答のひとつの極み。

以下引用
『ぼくは、自分の職業の中で幸福だ…ぼくには、何の後悔もない。ぼくは賭けた。ぼくは負けた。これはぼくの職業の当然の秩序だ。…問題はけっして危険な生き方をすることにあるのではない。…危険ではないのだ、ぼくが愛しているものは。ぼくは知っている、自分が何を愛しているか。それは生命だ。…

…たとえ、どんなにそれが小さかろうと、ぼくらが、自分たちの役割を認識したとき、はじめてぼくらは、幸福になりうる。そのときはじめて、ぼくらは平和に生き、平和に死ぬことができる。なぜかというに、生命が意味を与えるものは、また死にも意味を与えるはずだから。

精神の風が、粘土の上を吹いてこそ、はじめて人間は創られる。』引用終わり

我々を人間たらしむるものは一体なにか?それは我々がもっとも時間と精神を注ぐもの(仕事であったり家庭であったり)を通じて、立ち現れるものだということです。自分おかれている立場を通じて世界に何らかの価値を生み出すべしと。価値という言葉は語弊があるけど、それ以外に言い当てる言葉が見つからなかった。

人生に対する強い肯定を感じます。